院長ブログ
めまいの正体
一般的に”めまい”と表現される症状には、様々な種類が存在します。
英語で表現すると、DIZZINESS(あるいは、FAINTING, LIGHT HEADEDNESS)とVERTIGOが
あります。DIZZINESSは、ふらつき、少し気が遠くなる感じで、吐き気を伴う場合はまれです。
ほとんどが、自律神経の一時的失調か発作性頭位変化性めまい症がその原因です。
従って、治療は、安静、抗ヒスタミン剤あるいは神経安定剤の服用になります。
もう一つ、VERTIGOという症状があります。周りがくるぐる回る、平衡感覚がおかしい(歩行障害)
感じで、ほとんど吐き気と嘔吐を伴います。原因は内耳の問題か脳血管障害(特に小脳)か
頚椎症性めまい症という頚椎由来の疾患が多いです。
従って、一概に”めまい”と言っても、いろんな原因があり、それによって治療も異なります。
必然的に”めまい”は、脳神経外科医、耳鼻科医、整形外科医が共同で診るべき疾患に
なります。2016年(平成28年)8月1日本郷整形外科皮膚科のすぐ隣に本郷脳神経外科が
開院します。1.5Tの最新MRIが設置され、毎週木曜日にめまい専門外来が誕生します。
担当は、脳外科専門医、耳鼻科専門医、整形外科専門医三人の医師により構成されます。
間欠性跛行の原因
間欠性跛行(長く歩くと脚が痛くなったりしびれてくる症状)の原因は大きく
二つあります。腰の病気(主に脊柱管狭窄症)と血管の病気(主に慢性閉塞性
動脈硬化症など)があります。
画像で診断は容易にできますが、簡単な自己診断法があります。
自転車に乗ってみましょう。血管の病気であれば、自転車のサドルに鼠径部の
動脈が圧迫され、下肢の痛みが強くなります。
腰の病気の場合は、腰が曲がるので脊柱管が広くなり、下肢の痛みが軽減されます。
簡単ではあるが、極めて正確な診断方法です。
低髄圧による頭痛
頭痛のほとんどの原因は筋緊張による筋収縮性頭痛です。
子供が頭痛を訴えない(発熱時は除く)のは、
子供はストレス感受性が低く、自律神経のアンバランスによる
過度の筋収縮が起きないからです。
(子供の脳腫瘍による頭痛はここでは論外にします)
成人に、まれに見られる、低髄圧性頭痛があります。
髄膜が何らかの原因で破けて、髄腋が漏れ、頭痛が誘発される
現象です。低髄圧性頭痛はいくつかの特徴があります。
1.起立時に頭が痛くなり、横になるとすばやく消失する
2.長時間起立時は吐き気、立ちくらみを伴う
3.頭の後ろ(後頭部)が主に痛くなる
4.痛みの種類は、”ガンガン”痛くなる(後頭部を殴られている痛み)
などです。
低髄圧性頭痛の治療は、blood patch ; ブラード パッチが唯一の方法です。
自分の血液で、髄膜の穴を埋める方法です。
”地獄で仏様に会った”ように痛みが消失されます。
残念ながら保険外治療なので自費になりますが、現在、厚生省で論議中なので
保険適応になると思います。
本院では、交通事故の後遺症による頭痛の治療にブラード パッチを行って
おります。劇的に頭痛は改善されます。
交通事故後、長引く頭痛がある方は、一度”低髄圧性頭痛”を疑う
必要があります。
神経ブロックとカイロの併用治療、その有用性
神経ブロックの最大のメリットは、痛みを確実、迅速に取り除くことです。
特に神経根ブロックは坐骨神経痛に対して劇的な効果を発揮します。
腰部硬膜外ブロックは、治癒目的の治療ですので、速効性には落ちますが、
痛みだけを取り除くものではなく、病気そのものを治す効果があります。しかし、
私が行った3万件以上の神経根ブロック、腰部硬膜外ブロックの有用性を
検証してみると、腰椎の不安定による痛みには神経ブロックが全く
効果が得られませんでした。
不安定は、椎間関節と軟部組織、筋肉の不調和から生じますので、
神経ブロックでいくら血流を増やしても痛みを取り除くことは不可能です。
そこで椎間関節の動きを調節し、関節、筋肉、軟部組織の歯車を円滑に
させる方法、つまりカイロの一部を取り入れることによって、
治療の幅、選択枝が大幅に増えました。
スパイナル アジャスターという椎間関節調整機器により、それが可能に
なりました。変形性頚椎症、不安定腰椎症には抜群の効果が期待できる
非常に有用なカイロの治療です。
その他、ヘルニア、脊柱管狭窄症の治療に、神経ブロックとカイロの併用は
お互いの相乗効果をかなりの確率で期待できます。
脊椎矯正とカイロの真意
脊椎矯正(いわゆるカイロの一環)は、動きが悪い脊椎関節に動きを与え、
その結果として痛みを緩和させる治療方法です。
悪い動きというのは、単なる動きそのものではなく、
筋肉、靭帯などの軟部組織と関節のアンバランスの動きを言います。
関節の動きすぎの最大値は”脱臼”と定義されますので、
関節がただ単によく動けばいいというものではありません。
最大、最適のバランスを与える関節の動きを見極めるのは、
簡単なことではなく、骨格の解剖、神経の支配、自律神経の役割、
血管の分布など様々な要因を熟知する必要があります。
最近電子工学、人体工学に基づく脊椎矯正器械、spinal adjuster が一部
柔道整復師の間で使われるようです。
カイロのメカニズムの理解、治療の適応を間違えなければ代替医学として
非常に有用な治療方法と思われます。(あくまでも代替医学の範囲を
超えるものではありません。)
本院では治療の一環としてアメリカシグマ社製品の spinal alignment 器械による
正確な脊椎矯正を行っています。
〔神経支配に基づく脊椎矯正〕が本院のモットーです。
カイロの有効性と危険性
カイロ(chiropractic)は定義上、骨格筋肉神経系の診断、治療、予防に関する
諸健康ケアーです。つまり、明らかな医療行為であり、医師の資格を持っていない
者が行う行為ではありません。病気の治療という行為は、人体の生理、生化学などの
基礎医学、内科、外科、産婦人科、小児科などの臨床医学を基に行われるべきことです。
”俺は骨格に詳しいから”とか”俺はカイロの経験が豊富だから”では終わらない、
実に奥深い治療行為です。カイロそのものを否定するわけではありません。
カイロは代替医学として非常に有用な治療行為であることは私の経験上、
確実に証明できます。
椎間関節の動きを調節することによって、不安定腰椎症、変形性頚椎症などの
疾患には非常に有用な治療方法です。
いうまでもなく、その治療の根拠を確実に、合理的に説明する必要性が必然的に
生まれるわけですので、カイロを称する治療行為は医師、あるいは医師の指導の下で
行うべきです。根拠がない、根拠を説明できない治療は、宗教のようなものです。
高圧酸素タンク療法
最近、高圧酸素治療の宣伝が多くなりました。
そもそも高圧酸素治療の由来は潜水病、一酸化炭素中毒に使われた
命を救う装置でした。窒素、一酸化炭素などの血中飽和分布(分圧)が上昇し、
酸素分圧が低下することによって、命を落とすのが潜水病、一酸化炭素中毒です。
高圧酸素治療は、酸素の分圧を上げる装置です。
だからと言って、酸素分圧を上げすぎると、酸素中毒に陥ることになります。
脳梗塞急性期には100%酸素を2気圧の圧力で送り込みますが、
あくまでも脳梗塞急性期に限るものです。
酸素を沢山送り込めばいいというわけではないので、私は医学知識を
しっかり持っている医師が高圧酸素治療を行うべきだと思います。
世間って、何かが起きてから騒いで規制したりしますが、高圧酸素治療も
何らかの不祥事が起こりうる装置であることを覚えていただければ幸いです。
私の経験上、40%純粋酸素濃度で、1.3気圧の圧力が妥当ではないかと
思います。本院には高圧酸素装置がなく、系列のほんごう接骨院に設置されて
います。しびれ、異常感覚には絶対的適応(確実に効果が期待できる)で、
その効果は約2週間持続します。
自律神経失調症
私は自律神経失調を病気とは思いません。なぜなら文字通り自律する神経なので、
外部から薬物とか注射とかの治療は加えない方が妥当と思います。
だからと言って、痛み、めまいなどの症状を我慢しなさいということでは
ありません。心臓が勝手に動くように、自律神経は生命維持に不可欠なものです。
交感神経と副交感神経のバランスが一時的に崩れることによって現れる
諸症状を自律神経失調症といいますが、神経そのものの異常ではなく、
バランスの異常ですのでそのバランスを正すことが治療になります。
その自律神経に深く関係するものが星状神経節です。
頚椎の7番付近に存在するこの神経を治療することによって自律神経を
正すことが多く見られます。星状神経節ブロックが万病に効くように説明される
先生方もいますが、私は治療のひとつの選択肢として考えています。
星状神経節ブロックは首への注射なので、当然、恐怖を伴います。
医師と患者の間に信頼感が確立してないとなかなか注射には踏み切れません。
幸いにも、微弱電流治療が注射に近い効果を発揮することが分かってきました。
恐怖感、痛みを伴わず自律神経失調にかなりの効果が期待できる、
まさに救世主なような宝物です。
本院では一日50人以上の方に行われており、約80%以上の方が肩こり、頭痛、
不眠が改善されています。微弱電流による星状神経節治療!自律神経失調の
強力な治療の選択肢です。
腰椎、頚椎ヘルニアの治療
腰椎、頚椎ヘルニアは人間独特の病気です。脚が二つである直立歩行の動物に現れます。
それでは腰椎、頚椎ヘルニアは全て治療対象になるのでしょうか。
もし腰椎、頚椎ヘルニアが全て治療対象ならば、ほとんど全ての成人は
治療対象になってしまいます。腰椎、頚椎ヘルニアは、
自然治癒力により、70%は治療をしなくて治ります。
しかし、ヘルニアの中には治療をしないと治癒されないものが存在します。治療を要するかどうかは、
本人の症状に左右されます。つまり、レントゲン、CT などの画像診断で治療を決めることはありません。
”こんなに大きいヘルニアなので治療しましょう” ”軽いヘルニアなので治療は要りません”というものではなく、
あくまでも日常生活に支障がある痛み、しびれがあるかどうかが治療判断基準です。
私の治療基準は、
1.脚の症状(坐骨神経痛)がある
2.腹圧の増加時(くしゃみなど)に腰、脚に痛みが電気のように響く
3.排便、排尿の障害(緊急手術の適応です)などです。
ヘルニアが腰痛の原因である場合、全てのヘルニアを治療することはあり得ません。
70%以上のヘルニアは、症状に対しての対症療法(物理療法、消炎鎮痛剤など)を受けながら
自然に治ることを期待する、これが合理的な方法と思います。
脊椎矯正による腰痛解消の根拠
腰痛は色んな原因があり、一般的には腰椎ヘルニアとか変形性腰椎症などが多いですが、
意外と病気でない腰痛が存在します。
*加齢による変形は病気とは違う概念です。高齢者の顔にしわが増えるのは生理的現象であり、
病気ではないという考えです。
たとえば、筋肉の疲労による腰痛、分娩後の腸仙骨関節の開きによる痛みなどは、生理的痛みであり、
病気による痛みではありません。
みんなの顔,体型が違うように、脊椎も様々な顔を持っています。
中には脊椎の配列(alignment)が悪くて現れる腰痛が存在します。
つまり、過剰に動く関節(関節の過剰動きの最大値が脱臼です)、過少に動く関節、動かない関節が
腰痛の原因になる場合があり、この関節の動きを正すのが脊椎矯正です。
脊椎の動きそのものに原因がある腰痛の治療には、脊椎矯正が
効果的な方法です。幸いにも、アメリカのシグマ社から、脊椎矯正器械が研究され、
最新のアップグレード器械(ULTRALIGN G2 MODEL)を来月導入することに
なりました。もちろん、全ての腰痛に効果があるわけではありません。
正確な診断の下であれば、脊椎矯正の効果は抜群です。
脊椎矯正はいわば、脊椎関節の美容整形のようなものです。
坐骨神経痛にお悩みの方々へ
坐骨神経痛は、臀部を含む脚の痛み、しびれ、異常感覚などを総じて表現するもので、
病名ではなく、症状の表現です。たとえば、風邪を引いた時、咳が出るとか鼻水がでるとかの
症状です。つまり、風邪を治せば鼻水が止まるように、坐骨神経痛の原因疾患を治せば
坐骨神経痛は消失します。坐骨神経痛の原因はまれに梨状筋症候群、血管の疾患などが
ありますが、ほとんどの原因は腰の疾患です。なかでも、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症が
大半を占めます。単純レントゲンだけでは確定診断が難しく、CT, MRIで確定診断ができます。
脊柱管狭窄症は高齢者に多く見られ、ヘルニアはほとんどが若年層(50歳未満)に見られます。
坐骨神経痛を治す、消すためには、その原因疾患をしっかり把握し、その病気を治せば坐骨神経痛は
消失します。したがいまして、もし脚の痛み、しびれ、変な感覚(足の裏に何か付いているような感覚など)の
ような坐骨神経痛をお持ちの方は、まず正確な診断の元、その原因疾患を治すようお勧め致します。